物損事故から人身事故へ切り替えるには
物損事故とは、被害者にケガがなく、車やガードレール、家屋など、器物の損壊のみが生じた事故のことをいいます。物損事故では、事故の相手方が加入する自賠責保険や任意保険の対人賠償保険は使用できず、使用できるのは対物賠償保険のみとなります。また、加害者に対して懲役や罰金など刑事処分や行政処分がなされることは原則としてありません。
このように、刑事処分がなく行政処分が軽いことから、被害者がケガをしているにもかかわらず、加害者から「物損事故扱いにしてほしい」と頼まれるケースがあるので注意が必要です。
これに対し、交通事故により被害者が傷害を負ったり死亡した場合が人身事故に該当します。人身事故では、加害者に対して刑事処分や運転免許の違反点数が加算といった行政処分が課されます。
物損事故として届け出た場合、加害者が加入する自賠責保険や任意保険の対人賠償保険が使えない場合があり、傷害の治療のために費やした治療費や慰謝料などを、加害者から支払ってもらうことが難しくなります。
したがって、事故直後は目立った外傷がないと判断し、物損事故として届け出たが、後から体が痛みだして何らかの傷害を自覚する場合などは、人身事故扱いに切り替えることをおすすめします。
物損事故から人身事故への切り替えには、厳密な期間の制限はありません。
しかし、事故から日にちが経ちすぎると、人身事故への切り替えができない場合があります。長期間の経過により当事者の記憶が薄れたり、傷害の原因が本当に交通事故によるものか信憑性を疑われるためです。
人身事故への切り替えのための具体的な手続きと、切り替え後の流れを以下説明します。
(1)病院で診断書を作成する
物損事故から人身事故への切り替えには、ケガの症状や傷病名の証明となる診断書が必要となります。その際、ケガが交通事故によるものであることを記入してもらうことが重要です。最初に受診した日が交通事故の発生日から大きく離れてしまっている場合には、傷病と交通事故との因果関係が明確でないとして、警察から切り替えを拒否されてしまうおそれが高いでしょう。
人身事故への切り替えを考えている場合は、できるだけ早く、遅くとも交通事故の発生から数日以内に病院を受診しておくべきです。
(2)警察に診断書などの書類を提出
担当の警察署に人身事故へ切り替えたい旨を連絡し、警察署を訪問して手続きを行います。
(3)人身事故の捜査
事故を物損事故から人身事故に切り替えるかは警察が判断します。人身事故と認められると、後日自動車安全運転センターより、人身事故の証明となる交通事故証明書を取得できるようになります。
⑷人身事故に切り替えられないときの補償
診断書などを警察に提出しても人身事故と認められない場合、最終的に物損事故として処理されることになります。
人身事故と認められないケースとしては、事故による受傷が疑わしい場合の他、ケガと交通事故との因果関係が認められないと判断される場合などが考えられます。
この場合、人身事故証明書入手不能理由書を保険会社に提出すると、人身事故扱いで補償が受けられることもあります。
人身事故の場合は、しっかり人身事故扱いにしておかないと、後日の後遺障害等級認定などで不利になるおそれがあります。
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