離婚調停が1回で終わることはある?長引くのはどんなケース?
離婚の話し合いがうまく進まないときは、家庭裁判所での調停制度を利用することが可能です。
調停では裁判官と調停委員が中立的な立場で夫婦の対話を支援するため、8割以上のケースが5回以内で解決しています。
本記事では、調停の仕組みや期間の目安、長引きやすいケースについて解説します。
離婚調停について
夫婦の話し合いだけでは離婚の合意に至らないケースにおいて、家庭裁判所で利用できる制度が離婚調停です。
この制度では、裁判官1名と男女各1名の調停委員から構成される調停委員会が、中立的な立場で夫婦の話し合いを仲裁します。
離婚調停にかかる期間と回数の実態
令和4年の司法統計年報家事編における離婚調停に関するデータでは、離婚調停の多くが予想以上に早期に解決していることが判明しました。
調停回数 | 割合 |
---|---|
2回以下 | 44.0% |
3~5回 | 40.8% |
6~10回 | 13.1% |
11回以上 | 2.1% |
統計によると、離婚調停の84.8%が5回以内で終了しており、2回以下での終了が最も多くなっています。
期間に関しては、約6割の離婚調停が3か月〜1年の間に終了しています。
離婚調停の長期化が予想されるケース
離婚調停の進行速度は、関係者の日程調整や争点の数、証拠の有無によって大きく変動します。
ここからは、具体的に離婚調停が長期化するケースを詳しく見ていきましょう。
離婚の意思が対立しているケース
離婚調停が長期化する一般的な要因は、離婚の意思そのものに夫婦間で大きな隔たりがあるケースです。
片方が離婚を望んでいても、もう片方が離婚に同意しない場合、調停による合意は困難です。
特に下記のような状況では、同意を得るまでに時間がかかります。
- 離婚理由が明確でない
- 離婚の原因を示す証拠がない
財産分与や慰謝料など金銭面での争いがあるケース
離婚の方向性では合意していても、経済的な条件について意見が分かれると、調停期間が長くなります。
夫婦それぞれの考え方や立場の違いにより、金銭的な部分は特に慎重な話し合いが必要です。
争点 | 具体的な内容 |
---|---|
財産分与 | 分与対象となる財産の範囲、分け方 |
慰謝料 | 請求理由の妥当性、金額の算定 |
夫婦間で分与すべき財産の範囲についての認識が異なることも多く、話し合いに時間を要します。
また、慰謝料を請求する場合、その根拠となる資料の収集や整理に時間がかかります。
子どもの将来に関わる事項が存在するケース
子どもがいる夫婦の離婚調停では、親権、養育費、面会交流といった重要な取り決めが必要です。
これらは子どもの将来に直結する内容のため、十分な時間をかけて話し合う必要があります。
項目 | 話し合いのポイント |
---|---|
親権 | 子どもの成長環境、親の養育能力 |
養育費 | 金額、支払期間、支払方法 |
面会交流 | 頻度、時間、場所 |
特に親権については双方が譲歩せず、養育費の金額設定でも意見が分かれやすいため長引くことがあります。
まとめ
離婚調停は夫婦関係を整理するための公平な話し合いの場であり、8割以上が5回以内で終了しています。
ただし、財産分与や慰謝料などの金銭面、また子どもがいる場合は親権や養育費の問題で意見が分かれると、調停期間は長期化する傾向にあります。
調停を円滑に進めるには、争点を明確にし、必要な資料を事前に準備することが重要です。
離婚調停について不明なことや不安な点は、弁護士などの専門家に相談することも選択肢のひとつとして考えておきましょう。
当事務所が提供する基礎知識
-
症状固定後に治療費は...
交通事故の治療には症状固定という概念があります。この症状固定後に治療費を請求することはできるのでしょうか。当記事では、症状固定後に治療費を請求できるのか、症状固定を早めるデメリットについて詳しく解説をしていきます。 症 […]
-
逸失利益とは
逸失利益という言葉は、多くの人にとって耳慣れないものなのではないでしょうか。しかし、交通事故という身近な問題では、非常に重要な意味を持つキーワードなのです。このページでは、交通事故にまつわる多くのキーワードのなかから、逸 […]
-
休業損害の請求方法
人身事故によって傷害を負い、症状固定または治癒するまでの間に仕事を休んだり、通院のために仕事を休むなど、事故前よりも不十分な労働しかできなくなるという「労働の制限」によって生じる収入減収のことを「休業損害」といいます。交 […]
-
交通事故でPTSDを...
交通事故の被害者が精神的な不調を感じることは少なくありません。代表的な症状として心的外傷後ストレス障害(PTSD)があります。本記事では、PTSDの具体的な症状や後遺障害認定の基準、慰謝料請求の可能性まで、詳しく解説しま […]
-
離婚調停が不成立にな...
離婚調停が不成立になってしまった場合には、その後はどのように離婚を進めていけば良いのかというご質問をいただきます。本記事では、離婚調停不成立後の流れや対応方法について詳しく解説をしていきます。 ◆離婚調停不成立 […]
-
将来の退職金は財産分...
離婚をする場合、財産分与の対象となる財産の範囲はどのようなものなのでしょうか。中でも、将来の退職金については財産分与の対象となるのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。 財産分与の対象となる財産 財産分与は夫婦が共 […]
よく検索されるキーワード
-
エリアに関するキーワード
弁護士紹介
-
- ご挨拶
-
お話をじっくりと伺った上で、最適な解決策をご提案。1日でも早くお悩みから解放されるよう力を尽くします。関東近郊のみならず東海・関西地方からも数多くのご相談いただいており、交通事故は全国対応が可能です。
-
- 経歴
-
広島県出身
中央大学法学部政治学科卒業
明治大学法科大学院修了
-
- 所属団体
- 第二東京弁護士会(53858)
事務所概要
名称 | 弁護士法人法律事務所Astia 弁護士 出口忠明 |
---|---|
所属団体 | 第二東京弁護士会(53858) |
所在地 | 〒105-0001 東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー15F |
電話/FAX番号 | TEL:050-3189-0856/FAX:03-6430-3992 |
対応時間 | 平日 11:00~19:00(事前予約で時間外も対応可能) |
定休日 | 土・日・祝(事前予約で休日も対応可能) |