交通事故でPTSDを発症|慰謝料や後遺障害認定はどうなる?
交通事故の被害者が精神的な不調を感じることは少なくありません。
代表的な症状として心的外傷後ストレス障害(PTSD)があります。
本記事では、PTSDの具体的な症状や後遺障害認定の基準、慰謝料請求の可能性まで、詳しく解説します。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)について
交通事故による精神的なダメージは、心の健康に深刻な影響を及ぼすことがあります。
多くの人がトラウマと呼ぶ症状のひとつが、心的外傷後ストレス障害(PTSD)であり、精神疾患の中でも代表的なものです。
どのような体験がPTSDを引き起こすのか
生命の危機を感じるような重大な出来事がPTSDの原因です。
大規模な災害や事故に巻き込まれる体験だけでなく、危険な状況を目撃することでも強い精神的ショックを受けることがあります。
PTSDにはどのような症状が現れるのか
PTSDの症状は多岐にわたりますが、交通事故が原因のPTSDでは、以下のような症状が見られます。
症状 | 具体的な状態 |
---|---|
フラッシュバック | 事故の記憶が突然意識に浮かび、強い不安を感じる |
過敏な反応 | サイレンの音を聞くと心拍が急激に上昇する |
反復して見る夢 | 事故の場面が夢の中で繰り返し再現される |
これらの症状が30日以上持続する場合、PTSDが強く疑われるため診療が必要です。
PTSDの後遺障害等級について
PTSDは非器質性精神障害として認定され、症状の重さに応じて3つの等級に分類されます。
等級 | 認定基準 | 労働への影響 |
---|---|---|
9級10号 | 重度の症状 | 通常の仕事は可能だが、就労可能な職種が大幅に限られる |
12級13号 | 中程度の症状 | 通常の仕事は可能だが、一定の支障がある |
14級9号 | 軽度の症状 | 通常の仕事は可能だが、わずかな影響が残る |
自賠責保険での後遺障害認定は、精神状態と生活への影響を総合的に評価して判断されます。
精神状態の評価では、抑うつ傾向や不安感の程度、意欲の状態、幻覚や妄想の持続性、さらに記憶力や知的能力の状況が重要な判断材料です。
また日常生活への影響として、基本的な生活動作や仕事への意欲、時間管理能力、作業の持続性なども考慮されます。
さらにコミュニケーション能力や周囲との協調性、自己管理能力、問題対処能力なども判断材料に含まれます。
交通事故によるPTSDの慰謝料請求
PTSDも外傷のひとつとして治療費や入通院慰謝料の請求が可能です。
ただし、PTSDと事故の因果関係を明確に示すことが必須になります。
医療機関での診断や継続的な治療があっても、事故との関連性が認められる必要があります。
PTSDは事故から時間が経過して症状が現れることが多く、被害者自身が気付きにくいため、一般的な怪我と比べて因果関係の立証が難しいのが現状です。
そのため、PTSDの疑いがある場合は、早期に専門医の受診を受け、弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
交通事故後のPTSDは適切な治療と支援で回復が期待できます。
フラッシュバックや不安感の増大など、特徴的な症状が1ヶ月以上続く場合は、PTSDの可能性を考え、専門医の受診を受けましょう。
後遺障害認定では症状の程度に応じて9級から14級まで3段階の等級があり、慰謝料請求も可能です。
ただし、因果関係の立証が重要なため、早い段階で医師と弁護士に相談するようにしましょう。
当事務所が提供する基礎知識
-
交通事故の慰謝料は相...
交通事故における慰謝料とは、交通事故によって被った精神的苦痛に対して請求できるものであり、通院費や治療費などとは別に請求できます。もっとも、交通事故に遭ってしまった場合、保険会社などから提示された慰謝料が正当な額なのかを […]
-
子どもの学資保険も離...
夫婦が離婚する場合、財産分与について協議し取り決めていきます。財産分与には、夫婦がコツコツと子どものために積み上げてきた学資保険も対象になります。今回は、子どもの学資保険が財産分与の対象になる理由と、学資保険の財産分与の […]
-
離婚調停が不成立にな...
離婚調停が不成立になってしまった場合には、その後はどのように離婚を進めていけば良いのかというご質問をいただきます。本記事では、離婚調停不成立後の流れや対応方法について詳しく解説をしていきます。 ◆離婚調停不成立 […]
-
共有財産の分け方と対...
「離婚を検討しているが、財産分与はどのような分け方をするのが一般的なのだろうか。」「離婚にともなう財産分与の対象となるのは、どういった財産なのだろうか。」離婚するにあたって、財産分与についてこうしたお悩みを持たれる方が数 […]
-
交通事故の被害者が請...
交通事故は、突然発生します。交通事故がいくら身近な問題であるとしても、多くの方は自分が被害者になるとは思ってもいないことでしょう。それゆえ、交通事故における損害賠償について、ほとんどの方が戸惑われ、悩まれています。このペ […]
-
相続問題
相続問題は、身近な法律問題でありながら複雑な面もあり、事務作業も膨大になる可能性のある問題です。 ■相続の大きな流れ相続の始まりは、「人の死亡」です。複数の法定相続人がいる場合は、相続人が持っている財産は「遺産 […]
よく検索されるキーワード
-
エリアに関するキーワード
弁護士紹介
-
- ご挨拶
-
お話をじっくりと伺った上で、最適な解決策をご提案。1日でも早くお悩みから解放されるよう力を尽くします。関東近郊のみならず東海・関西地方からも数多くのご相談いただいており、交通事故は全国対応が可能です。
-
- 経歴
-
広島県出身
中央大学法学部政治学科卒業
明治大学法科大学院修了
-
- 所属団体
- 第二東京弁護士会(53858)
事務所概要
名称 | 弁護士法人法律事務所Astia 弁護士 出口忠明 |
---|---|
所属団体 | 第二東京弁護士会(53858) |
所在地 | 〒105-0001 東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー15F |
電話/FAX番号 | TEL:050-3189-0856/FAX:03-6430-3992 |
対応時間 | 平日 11:00~19:00(事前予約で時間外も対応可能) |
定休日 | 土・日・祝(事前予約で休日も対応可能) |