交通事故の慰謝料は通院すればするほど増えるのか?
交通事故のご相談でよくお問合せいたいただくことの一つに慰謝料の計算方法があります(慰謝料には通院慰謝料と後遺障害慰謝料がありますが、ここでは、通院慰謝料のことを見て行くことにします)。
よくある間違いが「1日通院すると4,200円だから通院すればするほど慰謝料が増える。」というものです。「100日通院すれば42万円、200日通院すれば84万円。通院すればするほど慰謝料が増えるから頑張って通院しよう。」などと考えてはいませんか?これは、大きな間違いです。
確かに、自賠責基準の慰謝料に関しては、1日4,200円(令和2年4月1日以降発生の交通事故からは4,300円)と巷で言われていますね。ここだけ切り取ってみると、通院すればするほど慰謝料が増えて行くようにも思えます。どこが違うのか?
まず第一に、自賠責の慰謝料計算の方法を理解する必要があります。自賠責の慰謝料計算は、『4,300円×通院期間と4,300円×実通院日数×2のどちらか少ない方』で算出します。例えば、通院期間30日で実通院日数が10日だった場合の慰謝料は、4,300円×10日×2=8万6000円になりますし、通院期間30日で実通院日数が20日だった場合の慰謝料は、4,300円×30日=12万9000円になります。
では、ここで問題です。通院期間30日で実通院日数が25日だった場合はどうでしょうか?
正解は、4,300円×30日=12万9000円です。実通院日数が20日だった場合の慰謝料の額と同じです。このように慰謝料額は、通院すればするほど増えるわけではないのです。
第二に、自賠責には『120万円まで』という上限があることを知っておく必要があります。慰謝料だけでなく、治療費や交通費や休業損害などトータルで120万円までしか自賠責から支払われないのです。例えば、通院期間が120日で実通院日数が100日だった場合の慰謝料を考えてみましょう。先ほどの自賠責の計算式に当てはめますと、4,300円×120日=51万6000円になりますね。しかし、治療費が100万円かかっていたらどうでしょうか?自賠責には120万円までという上限があるため、治療費を控除すると20万円しか余剰がありません。したがって、自賠責基準で支払われる慰謝料は20万円ということになってしまうのです。
ところで、慰謝料の計算式には、自賠責基準のほかに任意基準(=保険会社の基準)と裁判基準(=弁護士基準)があります。これらの基準には、自賠責のような120万円までという上限はありませんが、治療費が高額なれば保険会社の負担が増えますので、示談の際に支払われる慰謝料の額が抑えられてしまいかねません。また、通院期間や通院頻度が訴訟で争われて治療費の一部が否認されてしまうと、否認された治療費相当額が慰謝料から控除されて、受け取る慰謝料が減ってしまうリスクもあります。
このように、無理して通院回数を増やしても慰謝料は増えないですし、かえって減ってしまうこともあるのです。
慰謝料のことで疑問点や知りたいことがございましたら、お電話かメールで気軽にお問い合わせください。既に治療が終了して相手方保険会社から見積もりが出されている場合には、慰謝料の増額見込み額をお伝えいたします。
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- 経歴
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広島県出身
中央大学法学部政治学科卒業
明治大学法科大学院修了
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- 所属団体
- 第二東京弁護士会(53858)
事務所概要
名称 | 弁護士法人法律事務所Astia 弁護士 出口忠明 |
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